Nitro Deluxe / The Brutal House - ElectroとHouseの境界を切り裂いた衝撃の原点的サウンド

Nitro Deluxe / The Brutal House

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ElectroとHouseの境界を切り裂いた衝撃の原点的サウンド

1986年、ダンスミュージックの潮流が大きく転換しようとしていたその瞬間を真空パックしたような1枚、それが今回レコメンドするNitro Deluxe / The Brutal House です。Electroの延長線上にありながら、確実にその先を提示したこの楽曲は、単なるトラックではなく、時代の分水嶺そのものと言っても過言ではありませんね。80年代前半を席巻したElectroの硬質なマシン・サウンドがまだフロアに鳴り響く一方で、ChicagoやN.Y.では新たなDance MusicとしてHouseがジワジワと存在感を増し始めていた時代…そんな新旧のサウンドが交錯する瞬間に生まれたThe Brutal Houseには、ジャンルがまだ明確に整理される以前だからこそ生まれ得た独特の荒々しさと自由さが刻み込まれています。


強烈なシンセ・フレーズと剥き出しのグルーヴ

聴いた瞬間、まず耳に飛び込んでくるのは、あの強烈に焼き付くシンセ・フレーズっ!無機質でありながら妙に中毒性のあるこのメロディが、まるでフロア全体に合図を送るかのように鳴り響きます。そこへ絡むのは、跳ねるような4つ打ちのビート…Electro特有の硬質な質感を残しつつも、よりフィジカルで、よりフロア志向へと進化したグルーヴが身体を確実に揺らしてくる。派手なメロディや歌で聴かせるワケではなく、ビートとシンセ、そしてフレーズの反復という極めてシンプルな要素だけでフロアを引っ張っていくのですが、この無駄のナイ構成だからこそ、リズムそのものが持つ強烈なエネルギーがダイレクトに伝わってくるんですよね。今の耳で聴けば非常にプリミティブな作りにもカンジられますが、その粗削りな質感こそがこの曲のカッコ良さでもあります。


ElectroをHouseへと大胆に転換したThe Brutal House

A面の Let’s Get Brutal がブレイキンなElectroナンバーだとすれば、このThe Brutal Houseはその素材を再構築し、Houseの文脈へと大胆に転換したトラック。余計な装飾を削ぎ落としたミニマルな構成ながら、フレーズの抜き差しと展開だけでこれホドの高揚感を生み出す手腕は見事の一言です。こうしたサウンドを聴いていると、Houseミュージックが誕生した初期には、現在のように「これはHouse」「これはElectro」とジャンルがキッチリ分けられていたワケではなく、DJやプロデューサーたちが目の前にある機材と既存のDance Musicを使いながら、新しいグルーヴを模索していたコトがよくわかります。完成されたジャンルのルールに沿って作られた音楽ではなく、ルールそのものを作りながら進んでいた時代…The Brutal Houseには、そんな黎明期ならではのスリリングな空気がタップリと詰まっているのです。


混沌としたN.Y.のクラブシーンから生まれた新しいDance Music

当時のN.Y.クラブシーンでは、HipHop、Electro、そして誕生し始めたHouseが混在していた混沌の時代。そんな時期にこのナンバーはそのすべてを横断するような存在として、多くのDJにプレイされました。Benji Candelarioによるミックスは、後のHouseミュージックの構築美にも通じる洗練をカンジさせます。Brutal というコトバに象徴されるように、既存の枠組みを壊し、新しいダンスの衝動へと突き進むエネルギーが込められたようなサウンド…まさに音そのものがメッセージと言える1曲です。DJ目線で聴けば、ヴォーカルでストーリーを作るのではなく、ビートやシンセの抜き差しによってフロアのテンションをコントロールできるトラックとしての機能性も抜群っ!こういうレコードをミックスの中へ差し込むと、前後の曲まで違った表情に聴こえてくる…12インチシングルが単なる楽曲の収録媒体ではなく、DJがフロアを組み立てるための「道具」でもあったコトを改めて実感させてくれます。


House、Acid、Technoへと続く時代の分水嶺

今改めて聴くと、このトラックが持つ実験性と先鋭性は驚くほど色褪せていません。むしろ、Acid HouseやDetroit Technoへと繋がっていく80年代後半のDance Musicの大きな変化をリアルタイムで体感できる貴重な記録として、その価値はさらに増しているようにカンジます。シンプルだからこそ深い…削ぎ落とされているからこそ、グルーヴが剥き出しになる。現在では当たり前となった反復するビートやミニマルなトラック構成も、そのルーツを辿っていけば、こうしたジャンルの境界線上で生まれた実験的な12インチへと行き着くのでしょうね。DJにとってはフロアの流れを変える武器であり、リスナーにとってはDance Musicが新しい時代へ踏み出した瞬間を発見できる1枚。40年近い時間を経た今でも、この無骨なビートには未来へ向かおうとするエネルギーが残されています。あの時代の熱狂と、まだ名前すら定まっていなかった新しいグルーヴの胎動…Nitro Deluxe / The Brutal Houseに針を落とせば、ElectroからHouseへと時代が切り替わろうとしていた1986年のフロアが目の前に蘇ってくるでしょうね。

 

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